第308話サイレントベビー

赤ちゃんは泣くのが仕事なんて言葉があります。赤ちゃんにとって泣くことは、大切な意思表示です。

サイレントベビーというのは、泣かない無表情な赤ちゃんのことです。いくら泣いても抱っこしてもらない、あやしてもらえないという状態が続いたことにより、泣くことをあきらめた赤ちゃんです。

サイレントベビーはとても心配な状態です。泣かなくなるので、手のかからない良い子のように見えますが、心に深い傷を負っています。そのまま大きくなると、人間関係がうまく築けなかったり、心のトラブルとして表面化してきます。

20年以上も前の本なのですが、抱かれる子どもはよい子に育つという本があります。サイレントベビーを100例以上も診た医師、石田勝正先生が書いた本です。その中で石田医師は、サイレントベビーの症状と対処法を、次のように書いています。

生後3月の赤ちゃの例です。お母さんに赤ちゃんをあやさせてみたのですが、赤ちゃんはお母さんの目を一向に見ようとしません。天井の蛍光灯しか見ないのです。そして無表情で少しも笑いません。ひたすらに蛍光灯と交信をしているかのようです。

石田医師は、よく抱いて、大きな声であやすように指導しました。

その結果、2月後には母親にも優しい微笑みが回復し、赤ちゃんも母親の目を見て笑うようになったそうです。

しっかり見てるよ!byMiyataAkira

サイレントベビーをよく抱くようにすると、再びパワーを得て泣くようになります。よく泣くようになったところで、抱いたのがいけないと勘違いして、抱くのをやめないようにしないといけません。

そのままよく抱くことを続ければ、赤ちゃんの心に安心感が育ち、泣いてぐずることもなくなります。

石田医師によると、生後6カ月までであれば、2〜3カ月よく抱いてあげることで、急速に全例回復したとのことです。

しっかり抱けばよいということを知らなかっただけであれば、よく抱いてあげることで、このように問題は解決します。

ところが、そんなに簡単でないケースもあります。

産後の母親の心は不安定です。不安感や孤独感の中で母親としての自信を失い、子どもを抱くことができなくなる場合があります。

しかもサイレントベビーになると、赤ちゃんは母親に笑いかけないばかりか、目も合わせなくなります。そうなると、母親はますます自信をなくし、不安感やイライラが大きくなります。虐待が起きてしまう場合もあります。

石田医師のところにも、そのような母親がやってきます。

私の小児科外来に、無表情の暗く落ち込んだ母親が、赤ちゃんのことで相談に来られることがあります。自分で赤ちゃんを抱く気力もなく、ご主人かおばあさんが赤ちゃんを抱いて来られることもあります。

石田医師の指導治療は、そういった母親への理解と愛情にあふれています。

23歳の産後うつの母親の例です。石田医師はご主人に話をします。

奥さんのような不幸な育ち方をした場合、赤ちゃんが生まれても、母性本能を引き出して、それを強化させるのに、少し時間がかかってしまうのです

そして、ご主人に治療法を具体的に説明します。

朝と昼と夜、奥さんをしっかりと抱いてあげなさい。セックスはしない方が頭が混乱しなくてよいでしょう。安心感と快楽とはひとまず別のことなのですから。

それから奥さんが赤ちゃんをよく抱くようにしむけるのです。はじめはご主人がそばにいて、奥さんのからだに触れていてあげてください。そうしているうちに、母親は赤ちゃんを抱いても不安感をいだかなくります。

そして母親の乳が出なくもて、乳首を吸わせるようにしてごらんなさい

このような指導によって、2月後には母親は笑うことができるようになりました。赤ちゃんにほおずりしながら涙を浮かべ、石田医師に感謝してくれるまで回復したそうです。

スキンシップというのは、大人にとっても、愛されているという安心感をもたらすものなのですね。

抱きぐせをつけるなという間違った子育て法がアメリカから入ってきて、かって日本でも流行しました。そのようにして育てられた赤ちゃんの多くは、自己肯定感の低い、心が苦しい大人になりました。

石田医師は、アメリカで麻薬や覚醒剤に手を出す青年や大人が多いのは、この間違った育て方のせいだとさえ言っています。

育児法が、本当に薬物濫用の原因だったのかどうか私には分かりません。

ただ、しっかり抱っこして、自己肯定感のある子に育てることが、その子の幸せ、家庭の幸せ、社会の幸せにつながることは、間違いないと思いました。完

関連記事

第272話愛を満たされない子どもたち

第273話人見知りと愛着

第286話)子どもは泣いても大丈夫

親も子も輝く子育ての記事一覧

子どもへの接し方を少し工夫するだけで、子どもの目は輝き始めます。親も、優しい気持ちと自信を取り戻します。

バックナンバーへようこそ

過去記事をカテゴリーに分けて、読みたい記事を見つけやすくしてあります。

心に寄り添うメッセージ集〜シリーズ君へ

生きる希望を探している子どもたちに贈る、私からのメッセージ集です。

でも、子どもたちが一番求めているのは、お母さんやお父さんから、こう言ってもらえることではないでしょうか。

講演のご依頼をお受けします

子育て講演、PTA講演、生きがい講演、中高生向けのキャリア講演をうけたまわります。心あたたまる感動と、やさしい気持と、夢と希望をお届けします。

講演の詳細はこちら

講演に関連する記事一覧はこちら

講演のご依頼方法はこちら

少しでも多くの人に見てもらえるよう人気ブログランキングに登録しています。

ここをクリックして応援投票してもらえるとうれしいです。

みやたあきらのfacebookはこちら